2017-09-28
 エミールのプロ家庭教師が、生徒さんへの思いや仕事への姿勢を綴ったコラムです。
 是非、ご一読ください。

 「スランプの時は…」
 入試本番まで、あと4ヶ月。この時期に承る仕事で多いのが、社会・理科の追い込み指導です。社会・理科は「覚えるだけでいい暗記科目」と少々軽く見られ、後回しにされがちです。しかし、ただ闇雲に覚えることは無意味で、しかも不可能に近いでしょう。やはり、きちんと意味・内容を理解し、何をどこまで覚えるべきかを明確にしてから暗記するのがベストです。従って、スタート時はあやふやで断片的な知識の集合でしかない生徒の頭の中を4ヶ月で整理し理解させるには、生徒にも家庭教師にも相当な無理が強いられます。
 昨年10月上旬、社会の指導を承った小6生は、まさにこのケースでした。偏差値は40前後。志望校には15ポイント足りず、正直「いささか難しい仕事かな」と感じました。親御さんからは「週3回でも4回でも来て欲しい」と言われ、額面通りに受け取った私は実際その頻度で訪問し、生徒も順調にノルマをこなしてくれました。ところが、なかなか模擬テストの結果が伴いません。さすがに、親御さんも「どうしてでしょう?」とお尋ねになりました。長時間指導しているのに結果が出ない、他の生徒と同じように取り組んでいるのに思うように伸びない、という状況は、我々家庭教師にとって辛いものがあります。
 そこで、私は親御さんと生徒も交えて面談の機会を持ち、次の3点を実行しました。
① 親御さんに、普段練習している内容を明確に伝える。
② 生徒がゆっくりマスターするタイプであることを、報告はするが愚痴らない。
③ 生徒のやる気を親御さんの前で褒め、士気を上げる。
さらに、生徒に対して「君は本当によくやってくれている。先生の工夫がまだ足らん。もう一度練り直すから、一緒に頑張ろう。」と宣言しました。今思えば、この台詞で親御さんが落ち着いてくださったと思います。
 紆余曲折を経て迎えた中学入試。結果は見事合格。合格の知らせを頂いたお母さんから、弾んだ声で「4教科中、社会が一番高い点数だったんです。」と伺ったときは、何とも言えない達成感と安堵感に包まれました。
 「終わりよければすべてよし」かもしれませんが、受験勉強の途中で伸び悩むのは有り得ることです。それに一喜一憂せず、長い目で見てくださったご家庭には本当に感謝しています。


 スランプに動じない先生がいます。        エミールの家庭教師

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