2018-03-02
 エミールのプロ家庭教師が、生徒さんへの思いや仕事への姿勢を綴ったコラムです。
 是非、ご一読ください。

 「急がば回れ」
 新年度がスタートして1ヶ月経ちました。と言っても、これは中学受験生対象の進学塾での話です。現6年生の受験が一段落したのも束の間、進学塾では2月1日からそれぞれが新学年の扱いとなり、気持ちも新たに学習に取り組んでいます。家庭教師は、昨年度からの継続指導の生徒に対しては気を引き締め直し、新しく出会う生徒には期待感と緊張感を持って仕事に臨みます。今回は、この時期から出会う典型的な(新)5年生についてお話ししましょう。
 「5年生から授業が分からなくなってきた」「5年生から成績が急降下した」生徒本人や親御さんから家庭教師を依頼したきっかけを伺うと、毎年同様の答えが返ってきます。けれども、本当は「5年生から」ではなく、既に4年生以前から成績下降の原因が増殖していたのです。試しに比較的単純な問題に取り組んでもらうと、一応は式を立て解答を導き出せます。しかし、「どうして最後に2で割ったの?」と質問すると、数秒考えて「何となく」や「そういうものだと習ったから」と答えます。さらに「何故この式を立てたのか説明してみて」と突っ込むと、今度はしどろもどろで全く答えられない生徒さえいます。要するに、今までは設問の文章が醸し出す雰囲気を察知して「何となく」解いていたか、「そういうものだ」と解き方を覚えていただけだったのです。
 いかに進学塾といえでも、4年生までの問題は、具体的で複雑多岐にわたるものではありません。ところが、受験勉強が本格化する5年生からは、設問に抽象的な表現を用いた複合問題を扱います。しかも、徐々にではなく、一気に抽象的、複合的になります。したがって、前述のような解き方が、すぐに通用しなくなるのは当然です。模擬テストで問われるのは〇か✕であって解き方までは問われませんから、結果オーライでも点数さえ取れていれば「できる」と勘違いしてしまいます。つまり、5年生から「わからなくなった」のではなく「わかっていなかったことが露見した」のです。
 このような生徒は、とにかく本道に戻さなければなりません。本道とは「何故そうなるのか」着眼点・発想・解法の根本を論理的に理解し、使いこなせるまでにすることです。教師が解説し、生徒にも説明させ、演習する…「急がば回れ」の言葉通り、少々時間はかかってもこの繰り返しがやがて強力な武器を作ります。そして、単に受験だけでなく中学・高校の勉強にも威力を発揮すると私は信じています。


 本道に導く先生がいます。          エミールの家庭教師



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